福井町づくし

 

 

 とくわかんにん御まんざいとふや、

ありがたかりける君が代は、四方(よも)ものとかな

四海(しかい)なみ、御代太平(みよたいへい)におさまりて、

春は花見のあしたより、夏はすずみのおりをへて、

まちの女中(じょちう)にあふはし(大橋)の、

そのふうぞくは京町(けう)の、

いしようきかざる呉服町(ごふく)、

こしのほそさに柳町、おわらひがをを夷町(えびす)、

めもとやさしき塩町(しお)の、山町(やま)ほどにもちあげて、

乳のふたつや三ツ橋の、木町(き)のかわらすぎゆきて、

ゆみや八幡町(はちまんてう)までも、うかきたる御船町(おふねまち)、

月のあかりがみえまする、あがりさがりの米町(こめまち)か、

そうでござらぬ本町(ほんまち)の、

青物町(あをものてう)といふことも、

いうたることもないちぎり、あさぎにあらで紺屋町(こんや)、

なにとぞ帯を常盤町(ときわてう)、

それをわたしは松屋町(まつや)、

さけのいずみや亀屋町(かめや)、

やを万町(よろつ)かみかけて、河南小路のあけたても、

じゆうにならぬ鍵町(かぎ)の、

登り下りの谷町(たに)や、下坂町(しもさか)をうちすぎて、

ういろう一りうたべかけて、小田原町(こたわら)をすぎゆけば、

おわかいしうの与力町(よりき)、いいたいことは田原町(たわら)、

土井原町(といわら)をすきゆけば、

おやの代には長者町(ちゃうしゃ)、

才蔵はしんだい畳町(たたみ)、

二三度四五度江戸町(えど)へ、

ゆかうとおもふそのうちに、むまれやすきわ子安町(こやす)、

かたいせがれとよろこんで、なでつさすりつ かぢ町や、

かとふそたつを祝町(いわい)、かみにいろだす油町(あふら)

そのいろつやを三方町(みかた)、梅をさかせる室町(むろ)の、

そろー身代境町(しんたいさかえ)、お年玉には煎餅町(せんべい)

三好町(みよし)より横町(よこ)へ、

くるーまわるさ ざい町、八軒町(はちけん)より四軒町(しけん)、

あわせて一二ヶ月のかず、もはやこれから御小人町(おこびと)、

あしがよわれば御駕町(おかご)、それでゆかねば御手木町(おてこ)、

いつもすずしき堀端の、おこりをおとす地蔵町(ぢぞう)、

おししひきだす天王町(てんわう)、

それゆえおはなが鷹匠町(たかしょう)、

千代とさかへる松原の、天草町(あまくさ)をすぎゆけば、

諸願じようじう観音町(くわんおん)、御手をきよめん滝ケ花、

桜の馬場に花さかば、越の国には一番町(いちばん)、

新屋敷までうごきます、そろーわたしは上の端、

したいわたしは下町(した)で、くらがり小路がよかろうかと、

のればはやだす繰船の、ちらーみゆる毛屋町(けや)、

はたかへしいるさと人の、くわの木ばたの桃はたけ、

一ふくたべんと九十九橋、九十九よさはあんまりな、

よそめにこれをうらやまし、恋となさけの中町(なか)や、

むねのくふりか多葉粉町(たばこ)、

あわでこれまきたはひな、山ノ奥まできてみれば、

伊之助町(いのすけ)のこどもさん、

山のまつりをみんとてや、

かけあんどうの百坂を、ゆきつもどりつながむれば、

さてにぎわしきまちーの、

連(れ)きーしうのよせだいこ、

にわかにさわぐ祐海町(ゆうかい)、

石坂町(いしさか)のまふくるま、

石場の三ツや久保町(くほ)へ、

ながれてきたの寺町(てら)や、

あふばく小路すぎゆけば、しようばいなかもまるーと、

たがひにせいだす桶屋町(おけや)、

ひそかにしのぶ山かげ町、それでうきなが立矢町(たちや)、

志比口(しいくち)・加賀口・東郷口(とうごうくち)

才蔵がくちはすべりぐち、くちーまちーは、

はまのまさごのかずあふく、千代松本といわおさめて舞おさむ、

得のかに御万歳とふや

 

 

「参考資料 福井市史資料編9」

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